エコキュートとは?
エコキュートは再生可能エネルギーを活用した給湯機。エコキュートは大気中の熱をヒートポンプ技術を活用して「1」の電気エネルギーを使って、「2」の大気熱エネルギーをくみ上げることで、「3」以上のエネルギーを生み出す電気温水器です。ヒートポンプ技術はエアコンでも活用されている技術ですので、パナソニック、三菱、ダイキン、日立、東芝などのエアコンでも定評のある電機メーカーが多く製造しています。
また、エコキュートは割安な夜間電力を使用してお湯を沸かしますので、電気代も安くランニングコストが経済的な給湯機器になります。
エコキュートの仕組み・特長は?
【エコキュートの仕組み】
エコキュートは、下記のような仕組みでお湯を作ります。
- 1.大気中の空気の熱をヒートポンプユニット内の熱交換器の冷媒が取り込みます。
- 2.取り込まれた熱が、ヒートポンプ内の圧縮機にて高温になります。
- 3.高温になった冷媒(CO₂)は、ヒートポンプ内の水側熱交換器で熱を水に伝えてお湯をつくります。
- 4.お湯を貯湯ユニットに貯めて、お風呂や台所、洗面などで使えるようにします。
- 5.水側熱交換器で熱を奪われた冷媒(CO₂)は膨張弁に運ばれて、低温になります。
- 6.貯湯タンク内の高温のお湯は、設定温度になるよう水を混ぜて、お風呂や台所、洗面などに給湯されます。
エコキュートの特長①
給湯にかかる費用が安い
エコキュートはヒーターで加熱をするのではなく、大気の熱をヒートポンプで圧縮して少ない電力でお湯を作ります。また、夜間の安い電力を使用してお湯を作るので給湯にかかる電気代が安く済みます。
エコキュートの特長②
大気の熱を使うのでエコ
エコキュートは再生可能な大気中の熱を使ってお湯を作りますので、環境にもやさしい給湯機器です。
エコキュートの特長③
電力のピークシフトに貢献
エコキュートは多くの電力を使う昼間の時間帯は電気を使わず、電力使用量の少ない夜間に運転するため、昼間の電力需要を夜間の時間帯に移行させるピークシフトに貢献します。
※設定によって、昼間の電力を使う場合もあります。
エコキュートのメリットは?
エコキュートを設置するにあたり、事前にメリットとデメリットの両方を把握しておくことをおすすめします。
エコキュートを設置して良かったという声も多くあれば、逆に後悔するケースもあるようです。エコキュートを導入する前にメリットとデメリットを把握して最適な給湯機器を選びましょう。
メリット①
光熱費が安くなる
エコキュートの最大のメリットはお湯をつくるための光熱費が安くなること。電気でお湯を作るのでガス代もかからなくなり、電気代が安い時間に動くので電気代も抑えられます。お湯を使う量やお住まいの地域によっても変わってきますが、お湯を作るためのランニングコストは、ガス給湯器と比べて1/3から1/4程度に節約できます。
メリット②
環境にやさしい
再生が可能な大気中の熱を使ってお湯をつくりますので、環境にやさしく、地球温暖化を防ぐためにも貢献できます。
また、HEMS(Home Energy Management System ホーム エネルギー マネジメント システム)に対応しているため、エネルギーを見える化し、家庭で使うエネルギーを節約するための管理ができます。
メリット③
非常時にタンク内のお湯が使える
万が一の災害時にエコキュートの貯湯タンク内にお湯が貯まっていれば、断水時にも備え付けの非常用水栓からお湯を取り出すことができます。
エコキュートのデメリットは?
エコキュートのメリットを紹介させていただきましたが、デメリットもいくつかあります。ガス給湯器や石油給湯器と比較して高額なエコキュートを設置して、後で後悔しないようにしっかりとデメリットも確認しておきましょう。
デメリット①
設置するための初期費用が高い
エコキュートはガス給湯器や石油給湯器と比較して初期費用がかなり高く掛かります。そのため、エコキュートを使用中のランニングコストと設置のためのイニシャルコストを含めたトータルコストを考えることも重要です。
デメリット②
お湯切れの不安がある
エコキュートは貯湯タンクに貯まっているお湯に水を混ぜて適温にしてお風呂などに給湯しますが、エコキュートは商品の特性上貯湯タンク内のお湯が無くなってしまうと水しか出なくなってしまいます。一度水になってしまったものを温めるためにはかなりの時間がかかりますので、お湯切れを防ぐためにも適切な容量のエコキュートを選びましょう。
また、急な来客などでお湯を使う量が普段よりも増える場合はお湯切れの可能性がありますので、電気代は高くなりますが昼間に沸き増しをして湯切れを起こさないようにしましょう。
デメリット③
夜間の運転音が気になる
エコキュートは原則的に夜間にお湯を作りますが、運転する際に40デシベル程度の静かな図書館内程度の音ではあるものの低周波の音が出ます。そのため、エコキュートの設置場所が近隣の方の寝室の近くなどの場合、思わぬトラブルになることがあります。そのため、エコキュートを設置するためには近隣の家への配慮も必要になります。
デメリット④
設置スペースが必要
エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯タンクで構成されており、設置のためにはそれなりのスペースが必要になります。また、最初にエコキュートを設置した時は問題が無かったものの、例えばお隣に家が建った等で、設置したエコキュートを交換する際に既存の機器を撤去するために高額な費用が掛かってしまうこともあります。そのため、設置後のことも考慮してエコキュートを設置する必要があります。
また、東日本大震災においてエコキュートが地震の揺れによって倒れてしまったケースもあり、エコキュートの貯湯タンクを設置する場所のコンクリート基礎の大きさの基準も変わってきています。エコキュートを設置する場合は、余裕をもったスペースに設置することをおすすめします。
デメリット⑤
シャワーの水圧が弱い
ガス給湯器は直圧式の給湯器になりますので、水道の水圧に近い水圧のお湯を出せますが、エコキュートは貯湯式の機器のため、ガス給湯器と比較して水圧が弱くなります。水道の圧力にもよりますが、一般的な水道水では500KPa程度の水圧があり、貯湯タンク内の耐圧に耐えるために通常のエコキュートの場合で190KPa程度まで減圧されます。高圧力タイプの場合でも290KPa~360KPa程度まで減圧されます。そのため、ガス給湯器と比較してエコキュートではシャワーの水圧が弱くなってしまいます。
デメリット⑥
飲用できない
エコキュートの貯湯タンク内のお湯は日々入れ替わっていますが、飲料には適していません。
タンク内のお湯は空気に触れず高温に沸き上げられていますので、ほぼ滅菌状態にはなっているものの、長期の利用で水道水の中に含まれる不純物が、エコキュートの貯湯タンク内に付着や沈殿している可能性があり、各メーカーともエコキュートで作られたお湯は飲用不可としています。
こんな人におすすめのエコキュート
エコキュートにはデメリットもありますが、適切なエコキュートを選ぶことで大きなデメリットにはならなくすることもできます。生活スタイルに合わせて適切なエコキュートを選びましょう。
タイプ①
水圧の強いシャワーを使いたい場合
エコキュートの製造メーカー各社ともに、290KPa~360KPa程度の高圧力型のエコキュートがあります。シャワーの水圧が高くないと満足できない方は、高圧力型のエコキュートを選定しましょう。
タイプ②
エコキュートの設置スペースがあまり無い場合
一般的な角形の370Lタイプや460Lタイプのエコキュートの場合、貯湯タンクを設置するためのコンクリート基礎の大きさは600~700㎜×680~795㎜程度必要になってきます。
薄型タイプの場合、コンクリート基礎の大きさは450㎜×1,100㎜程度になります。エコキュートを設置するスペースによって、将来の交換も考慮して適切なエコキュートを選びましょう。
タイプ③
お湯切れが心配な場合
親戚などがよく来客し、日によってお湯を使う量が大きく変わることが多い場合は、効率は悪くなってしまいますが、大きめの貯湯タンクのエコキュートを選びましょう。
まとめ
ガス給湯器や石油給湯器と比較して初期費用が高く掛かってしまうエコキュート。ガス給湯器や石油給湯器と比較して光熱費を抑えることが出来るだけではなく、環境性能にも優れ、万が一の災害時にも貯湯タンク内のお湯が使えるといったメリットもありますが、お湯切れの心配やシャワーの水圧が弱いなどのデメリットもあります。高い費用を払って後で後悔しないようにエコキュートのメリットとデメリットをしっかりと把握してから、ライフスタイルに合わせたエコキュートを導入しましょう。