ガス給湯器はコンパクトなボディの中に、安全性、快適性を実現するための最新の技術が詰まっています。ここでは、ガス給湯器の仕組みについて説明します。
蛇口をひねってからお湯になるまで、ガス給湯器は次の順序で作動します。
- 1.蛇口を開けると、給湯器の中に水が流れ水流スイッチが入ります。
- 2.次に炎を燃やすための空気を取り込むためにファンが回り、空気を送ります。
- 3.次に点火をするためのプラグがスパークします。
- 4.最後にガスを送り、着火します。
蛇口をひねってからお湯になるまでに、基本的に上記のような動作をします。
適切な温度で出湯するために、また、安全に使用し故障を出来るだけ防ぐための様々な技術が導入されています。
主な部品の役割について
水量センサー
お湯を出そうとする蛇口やシャワーを開けると、給湯器の中に水が流れ込んできます。この水の流れを『水量センサー』で読み取り、お湯を沸かす準備に入ります。
ファンモーター(燃焼ファン)
ガスを燃やすために必要な空気を『ファンモーター』(送風機)にてバーナーに送り込みます。
イグナイター
ガスを点火させるために『イグナイター』が連続した火花を発生させます。
ガス電磁弁
ガス通路の開閉を行う弁。
ガス比例弁
燃焼させるための適切なガス量を制御する部品。
水量サーボ
設定湯温と入水温に対して、能力いっぱいの出湯量を調節する装置。
バイパスサーボ
バイパス回路に流れる水量をステッピングモータで調節することで出湯性能を向上させ、設定温度までの到達時間の短縮や再出湯時の不快な湯温の変化を抑える湯温制御装置。
過熱防止装置(温度ヒューズ)
機器の缶体のまわりに設置されている部品で、異常加熱すると断線して給湯器を安全停止させる部品。
給湯熱交換器
給湯回路の水をお湯に変換する部品。熱交換器の耐久性は給湯器の製品寿命に影響します。そのため、業務用機器の場合、この熱交換器をより耐久性のあるものにするために、肉厚のものにしたり、特殊な塗装を施したりしています。
漏電安全装置
微弱な漏電電流でもすばやく検知し、一次電源をカットします。また、落雷時の過電流をカットし電子基板への落雷電流による不具合を防ぎます。
ふろ熱交換器
追焚時のお湯をより高温のお湯に変換する部品。
サーミスタ
温度を測定するセンサー。給湯器の中では、給湯サーミスタ、熱交サーミスタ、ふろサーミスタなど様々なところで使用されています。
フレームロッド
電流を感知して炎の有無を検知する部品。
点火プラグ
電気的に火花(スパーク)を発生させて点火する装置。
水位センサー
主にフルオートタイプの機器に内蔵されている部品で、ダイヤフラムという圧力測定装置を利用して水位を測る部品。浴槽内にお湯がたまると水圧が変わってきますので、それを検知して浴槽の水位を保ちます。
循環ポンプ
一般的に設置フリー型の機器に内蔵されている部品(最近では浴室隣接設置型の機器にも内蔵されています)で、浴槽内のお湯を給湯器に戻して再加熱した後に、また浴槽に戻すための部品。
電装基板
給湯機器内の様々な情報(入水温度、出湯温度、入水量、出湯量、ガス量など)を瞬時に判断して、適切に機械を動かすための部品。まさに給湯器の頭脳ともいえる部品です。最近では、特殊樹脂製ポッティング加工を施し、水、ホコリ、虫の侵入等による電気系統のトラブルを低減させる工夫をしています。
凍結予防ヒーター
凍結の危険のある温度近くになると自動的に作動します。(電源プラグを抜くと作動しません。)あくまでも機器内の凍結を防ぐための部品ですので、機器に接続されている配管が凍結する恐れがある地域においては、機器に内蔵されている凍結防止ヒーターの他に、配管に電気ヒーターを巻いたり、適切な配管保温材を使用する必要があります。
COセンサー
主に屋内設置型の機器に搭載されている部品で、不完全燃焼などにより一酸化炭素(CO)濃度が上昇した際に給湯器の運転を停止させます。
安全装置について
給湯器の経年劣化などにより発生する不完全燃焼。屋内設置型給湯器の場合、一酸化炭素(CO)事故の原因にもなりますので、万一室内に排気が漏れても、事故が発生しないように給湯器内部にCOセンサーを搭載。FE式は全機種、FF式も順次搭載機種を増やしています。
またすべての給湯器に高感度の漏電安全装置を搭載。わずかな漏電電流でも瞬時に検知し、一次電源を自動でカットします。また、落雷時の過電流をカットする部品を内蔵し、電子基板への落雷電流による不具合を防ぎます。
その他、機器内部の温度が異常に高くなった場合、ガスを遮断し止水する過熱防止装置や、立ち消えで炎が消えると自動的にガスを遮断する立ち消え安全装置、空だき防止装置等の安全装置が装備されています。
また小型瞬間湯沸器には、省令新基準に適合した再点火防止装置等も搭載されています。
安定した湯温を得るために
冷水サンドイッチ現象により、一時的に冷たい水が出ることを最小限に抑え、断続使用時でも快適にご利用いただけるよう開発されたQ機能。その機能を進化させ、より安定した出湯を実現したバイパスサーボやPRO-TECメカの搭載。さらに安定した出湯温度を実現するために、新FF+FB制御等の様々な機能が開発、搭載されてきております。(機種により搭載機能は異なります。)
自己診断機能について
経年劣化による燃焼状態の悪化を自動で検知し、燃焼ファンの回転数を制御。正常な燃焼状態を保ちます。
エコジョーズの仕組みについて
エコジョーズとは、今まで利用せずに排気していた高温(約200℃)の燃焼ガスを再利用し、水をあらかじめ温めた後に加熱して温水を作り出すガス給湯器。従来タイプに比べて少ないガス消費量でエネルギーを無駄にすることなく、高い熱効率を実現した給湯器で、CO2排出量を約13%削減でき、地球にやさしく、使用するガス量も低減できるので、ガス料金も節約できます。排出ガスの温度も低くなりますので、やけどなどの心配も少なくなります。